■主催:公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会
■日時:2013年2月4日(日) 10:30~16:00
■会場:戸山サンライズ 大研修室
午前:ワークショップ
マルチメディアDAISY教科書製作団体紹介のあと、参加者は持参のノートPCなどにAMISをダウンロード。マルチメディアDAISY版「ごんぎつね」を再生しました。iPadでの再生説明もおこなわれました。
当日配布された冊子の中から、「活用マニュアル デイジー教科書を使ってみよう」をもとに、以下の説明がありました。
1 DISY教科書とは?
2 どのような人が対象か?
3 どのようなツールで読めるか?
4 DISY教科書の活用法
午後:パネルディスカッション
●モデレータ:
河村 宏(特定非営利活動法人支援技術開発機構 副理事長)
●パネリスト:
片山 敏郎(新潟市立上所小学校教諭・日本デジタル教科書学会会長)
井上 芳郎(埼玉県立坂戸西高等学校 教諭)
田中 和美(元公立中学校特別支援教育コーディネーター)
野口 武悟(専修大学文学部 准教授)
神山 博(青森公立大学経営経済学部 教授)
野村美佐子(日本障害者リハビリテーション協会)
〇DAISY教科書は一般教育現場で認知度がとても低いので、広報活動の工夫が必要。ターゲットは教員。片山敏郎氏より、デジ教研とデジタル教科書学会なども活用してほしいという発言。
〇教員や司書の養成を担う大学教員でさえDAISYを知らない可能性が考えられるが、明星大学などでは司書養成のカリキュラムの中にDAISY図書の製作を組み込んでいる。
会場から「教師の更新講習時に科目として設けたらどうか」との提案が出された。
〇DISY教科書の製作は、現在、ボランティア団体頼み。普及促進のための体制の整備、予算措置を要望する。
〇紙テストと読み上げソフトによる(iPad)テストの得点差を調査した結果が発表された。
紙テストよりiPadの方が点数アップした生徒は、紙テスト得点がかなり低く、高くなったiPadでも平均より少し上くらいが多い。また、読みの課題のある子が多い。
iPad高得点の子たちよりiPad低得点の子たちの方が使用に肯定的だった。点数には結びつかなくても、「わかる・助かる感じがする・デイジー教科書を使いたい」という子がいるのではないか。
会場の保護者より「うちの子は、音声読み上げのあるテストを受けた時は満点を取れる」という発言があった。
〇言語獲得時期の子どもたちには肉声が必須。朗読ボランティア、アナウンサー、アナウンサーOBなどとの協力を考える。
一方で、合成音声も使用していきたいが、個人で購入するには高価すぎるものが多い。マルチメディアDAISY製作用に利用可能な合成音声は少ないのが現状。その中で、AlTalkシリーズは音質も悪くなく、個人ならば音声を第三者に提供できる。
パネリストの最後に、日本障害者リハビリテーション協会センター長より、デイジー教科書提供者としての観点から、問題点と要望がまとめられました。
≪問題点≫
学校の導入環境に問題があり、利用者のDAISY教科書利用継続につながらない
・再生ソフトやDAISY教科書をダウンロードすることなどに制限がある。
・再生に使用するPC不足
・先生方の知識不足など
無償の製作ソフト開発が終了し、現在、日本語環境で使いやすい製作ソフトがない。
≪要望- 国にむけて≫
障害者権利条約の合理的配慮としてのDAISY教科書の保障
・予算的措置
・そのための法的環境整備と提供システムの確立
・教育委員会の協力を得るための支援
・各学校におけるIT支援員の確保