改正著作権法施行(37条3項について)

2009(平成21)年6月19日に著作権法の一部改正が公布され、2010(平成22)年1月1日から施行されました。

この改正著作権法のうち第37条第3項の改正によって、障害に応じた図書の作成や複製、送信などの行為が広くできるようになりました。また、そうした行為ができる主体が、改正前は点字図書館等に限定されていましたが、改正によって公共図書館も政令で規定され、対象者は視覚障害者や聴覚障害者のみでなく、発達障害者等にも拡大されました。
文化庁:平成21年通常国会 著作権法改正等について
http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h21_hokaisei/

文化庁 「著作権法の一部を改正する法律の概要」より

3.障害者の情報利用の機会の確保(37条3項、37条の2等)

○インターネットの発達等により、健常者は多様な情報に簡単にアクセスすることができるようになる一方、障害者はそのような情報にアクセスすることが難しく、情報格差が拡大。
○「障害者の権利に関する条約」においても、「知的財産権を保護する法律が、障害者が文化的な作品を享受する機会を妨げる不当又は差別的な障壁とならないことを確保するためのすべての適当な措置をとる」と規定。

改正前の著作権法では、点字図書館による録音図書の作成や、関係福祉施設による放送番組のリアルタイム字幕の作成・送信など、主体や範囲が限定されている。


法改正によって…障害者も健常者と同様に多様な情報へのアクセスが可能。
法改正の内容
≪改正前≫
○主体が点字図書館等に限定。
○録音図書の作成や、放送番組のリアルタイム字幕の作成・送信等、限られた行為のみが可能。
○視覚障害者、聴覚障害者のみが対象。
≪改正後≫
○主体を公共図書館にも拡大。 (※政令で規定)
○デジタル録音図書(デイジー図書)等の作成や、映画・放送番組への字幕・手話の付与等、幅広い行為が可能に。
○発達障害者等も広く対象に。

関連:著作権法の現況(障害保健福祉研究情報システムDINF) 
関連:図書館の障害者サービスにおける著作権法第37条第3項に基づく著作物の複製等に関するガイドライン