文部科学省主催の令和元年度音声教材普及推進会議(関東地区会場)に参加しました。参加報告です。
8/22(木)13:00~17:00 旧文部省庁舎6階 第2講堂
実施要項PDF
①開 会
②挨拶、行政説明
③音声教材製作団体による説明
〇公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会
・デイジー教科書の提供状況(令和元年8月現在)
・教科書(書写・体育・音楽を除く)小学校296冊 中学校140冊
・使用者 1万人 (今年度は1,4万人の見込み)
〇東京大学先端科学技術研究センター
・AccessReading(東大先端科学技術研究センター・人間支援工学分野・大学図書室の共同運営によるオンライン図書館)
・教科書や一般書籍の電子データ(DOCX形式+EPUB形式)を提供
・教科書タイトル数は過去4年で小学校と中学校は横ばいだが、高校は91→207と増えている。
・体験講座を積極的に開催している。
〇広島大学 氏間研究室(本年度より参入)
・対象:発達障害等のある小中高校生
・iPad, iPhoneなどのiOS機器で UDブラウザ(無料アプリ)を利用
・教科書読み上げモード(図・表は省く)と画像モード(書き込み・拡大縮小可)の併用
〇特定非営利活動法人エッジ
・音声教材BEAM
・国語、社会、道徳のみ
・内容をストーリーとして伝えるために本文以外の部分は削除
・人工音声プログラム使用。MP3形式でダウンロードし、身近な機器で聞くことができる。
〇愛媛大学教育学 UNLOCK(本年度より参入)
・電子辞書(カシオ Ex-Word)にテキストデータ(SDカード)を追加する形式
・インターネット環境 不要
・小学校(英・算)、中学校(英・数・理)、高校(国・社・英・数・理)及び 実技系教科
〇茨城大学
・音声付教科書(見えない2次元コードとスキャナーを内蔵した音声ペン利用)
・教科書会社提供の音声使用
・あえて再生箇所を目で追う必要がある形式にし、音声を聞きながら黙読するように誘導
・皆と同じ教科書が使えるので、能動的な読書に繋がる。
・音声ペンは4,000円程度で使いやすい(録音・スピード調節・イヤホンも可能)
・印刷費が高い(4~8千円/冊)ので個々のカスタマイズは不可。重度の障害者には不向き
・現在は国語のみ
・本年度からの取り組みとして短期貸し出し、録音シールの無償提供
④学校におけるアセスメントとICT利用による読み書き支援
東京大学先端科学技術研究センター 近藤武夫准教授
・読み、書き、計算等に障害のある生徒への的確な配慮を判断するためにアセスメントが必要
・音声教材利用までに必要なことと課題
(1)学校内でニーズのある個々の児童生徒にICT利用の許可をすること
(2)個々の児童生徒が著作権法の特例措置のニーズがあることを示すこと
(3)ICTを活用した学習指導ができる体制を整備すること
・音声教材の利用者の状況として中学生になると利用率が減ってしまう現状がある。読み書き困難な障害に対してまだ適切な配慮がなされていない結果ではないか。
⑤事例発表
・音声教材を使用する学校等による事例発表(2校)
⑥質疑応答
・音声教材とデジタル教科書の違いは何か?
→電子教科書は各教科書会社が製作したもの。
・音声教材は申請が大変。拡大教科書のように必要な生徒に渡せないのか?
→拡大教科書は教科用特定図書であり、音声教材とは扱いが違う。
・2019年4月からデジタル教科書は、特別支援が必要な生徒は紙の教科書に代わって授業で使ってよいことになった。
⑦実践編~音声教材を実際に使ってみよう
・東京大学先端科学技術研究センター(AccessReading)
・公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会 (デイジー教科書 )
・NPO法人エッジ (BEAM:本文だけの読み上げ)
・茨城大学
(特殊なインクで印刷された教科書:ペンでタッチすると読める音声付教科書)
・広島大学(文字・画像付き音声教材)
・愛媛大学(電子辞書等で読む・聞く音声付教材)